最近の報道(下)からは、中国は半導体の国産化を進める政策で、SMIC(中芯国際)を最重要視しているように見える。
「中国SMICと政府系ファンド、7900億円で新工場建設: 日本経済新聞 (nikkei.com)」(2020/12/4付け日経電子版)
また、「中国、半導体産業育成へ 有力企業に支援集中」(出所:2021.3.12付け日本経済新聞電子版 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM189JJ0Y1A210C2000000/)では、「SMICは政府系ファンドなどの支援を受け、生産能力を高めている。」また、「工業情報化省によると、20年の半導体産業の売上高は8848億元で前年に比べ17%増えた。中国の半導体受託生産最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)の20年12月期の純利益は7億1600万ドル(約760億円)で、前期の約3倍に増えた。堅調な国内需要に支えられ、売上高が前期比25%増の39億ドルに拡大した。」と、報道された。
これに対して、紫光集団については、債務不履行が続いていると報じられている。
「紫光集団、債務不履行でも操業続く 中国政府が後ろ盾」(出所:2021.1.13付け日本経済新聞電子版 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM1680A0W0A211C2000000/ )
「中国を代表する半導体大手、紫光集団が債務危機に揺れている。2020年末までに4度の社債の債務不履行を起こす一方、傘下企業は操業を続けている。その背後には政府資本が複雑に入り込む中国独特の企業統治の仕組みと、22年の共産党大会を控えた政治情勢が見え隠れする。」
一方、「半導体製造(H01L 21)[中国の半導体関連特許Ⅱ]」2019.11.11報告では、国際特許分類(IPC)がH01L 21/00(半導体製造)に分類される中国特許について、以下のように分析し、SMIC(中芯国際)については、「中国最大のファブ300φウエハファブを持ち、14nmの微細加工技術も持っているが、2015年から出願件数を急減させている」と分析した(下図)。
今回の事例研究では、そんなSMIC(中芯国際)に着目して、その特許戦略を探ってみた。
〔SMIC(中芯国際)とは〕
とは、
中国語:中芯国际集成电路制造有限公司
英語: Semiconductor Manufacturing
International Corporation
SMICのホームページ(https://www.smics.com/jp/site/company_info#page_slide_0)によると、『2000年に設立されたSMICは、世界有数のファウンドリであり、中国本土で最も先進的で最大のファウンドリであり、技術範囲が最も広く、半導体製造サービスが最も包括的であり、集積回路(IC)を提供します。 ロジック、ミックスドシグナル/ RF、CMOS、高電圧、SoC、フラッシュ、EEPROM、CIS、電力管理IC、MEMSなどの機能を備えた、0.35μmから14nmまでの幅広いノード向けのファウンドリおよびテクノロジーサービス。』
〔出願している特許の技術分野を探ってみた〕
特許出願の技術分野を、筆頭IPC(国際特許分類)で分類した。
やはり、半導体(H01L)が大半の70%。
〔外国出願動向を探ってみた〕
ほとんどが、中国の国内出願のみ。外国出願はあっても米国(US)のみ。
しかも、中国製造2025が打ち出された2015年以降の特許出願件数は急減中。
どうも、中央政府の掛け声や投資の集め方と、特許出願動向は、連動していないように見える。