特許マップDIYサポートキャンペーン 第2回

外出自粛/在宅勤務 応援企画

特許マップDo It Yourself
サポートキャンペーン
 第2回

(緊急事態宣言期間中無料)

緊急事態宣言が、残念ながら昨年4月に続き再び発出されてしまいました。特許マップDIYサポートの無料サービスキャンペーンも、このたびもう一度行うことにしました。この災禍を福に転じたいと願っております。

かねがね、特許マップを自分で作ってみたいと思っていた方、チャレンジしてみませんか?
新型コロナウィルスの脅威はありますが、まとまった時間がとれる機会は増えているのではないでしょうか? 

    • ・検索式作成 相談、代行
    • ・ヒット文献集合csvダウンロード
    • ・Excel(関数/ピボット/マクロ)操作 

特許マップを作るには、まず目的に合った特許文献集合を作る必要があります。是非、この機会にご相談ください。弁理士の職業的守秘義務の範囲です。業務上のテーマについてもご相談いただけます。

商用の検索データベースを利用できない方には、作成した文献集合をcsvダウンロードして無償提供します。

Excel(関数/ピボット/マクロ)については、セミナーのプレゼン資料(Seminar-PatentSearch-and-Map_20190703)か拙著を参考に進めてください。こみ入った内容のご質問にはSkype, ZoomなどのWeb会議システムで対応いたします。Excelシート画面を共有しながらQ&Aできますので。

メール(mail to: kojima#aq-patent.com 注:「#」を「@」に代えてください)でお申し込みください。

[Python] ダウンロードしたcsvに対する発明者分析

〖 課題 〗

ダウンロードしたcsvファイルの特許文献リストから、発明者ごとに出願年と件数を抽出することによって、出願人がリストの特許分野に何人の発明者を投入したのかを知ることができる。

〖 仕様 〗

入力:
csvファイルで、「発明者」、「出願日」、「出願日(受理)」が含まれている。
同じ特許の出願公開と特許公報は、予め1件のレコード(文献)にまとめられている
出力:
別のシート(”発明者”)に、1列目に発明者の一覧、2列目以降に出願年ごとの出願件数を出力
「出願年」は「出願日(受理)」ではなく「出願日」に基づく。分割出願は最初の親出願の出願日になる。1件の出願からn件の分割出願が行われたときには、最初の1件の出願年に1+n件の出願されたとカウントされる。

注:分割出願をカウントから除くためには改良が必要

〖 処理例 〗

入力:

事例研究「任天堂スイッチの特許戦略(2020.9更新)」で収集した任天堂スイッチの関連特許115件

発明者名は、複数のときは「;」で区切られている。

 

出力:

初めて出願した年の順に並べ替え、発明者の個人名を伏せて、件数をexcelの「条件付き書式」で色分けして示した。

中核メンバーが誰か、長く従事しているのか、新規に投入された人はその後も継続的に従事しているのかがわかる。ただし、任天堂スイッチの事例では、出願年の範囲がまだ狭く、あまり明確には顕れていない。

詳しくは、事例研究「任天堂スイッチの特許戦略(2020.9-10更新)」に、「発明者分析を追加(2020.10.9)」を追加して更新した(ご参考)。

《 プログラムの構成 》

<入力>
csvダウンロードしたデータから構成したEXCELファイル
csvデータは”db”シート

<出力>
同じEXCELファイルの”発明者”シート
pythonでは上の表を作るところまで、並べ替えや条件付き表示は手作業(Excel操作)

注:csvデータの数(特許文献数)、出願年の範囲などを固定値としてプログラム
  したがって、プログラムとしての汎用性はない。

line 6: os, openpyxlを使用。osはgetcwdでpathを取得するため、openpyxlはexcelファイルを扱うため

line 8-11: ファイル名、シート名などのパラメータ指定

line 13-15: excelファイルを開き、2つのシート(csvデータ”db”と出力用の”発明者”シート)をオブジェクト化

line 17: inventor_dict=発明者の辞書(発明者名をkey、出願年のリストを値とする辞書型データ;出願年は複数になるので単独の整数ではなくリスト型とする)
この行ではinventor_dictを空データに初期化。

line 18-29:csvデータの115件の特許文献情報を順次取得して処理するループ
注:csvデータ内のデータ(レコード数)を適応的にするには、シートオブジェクト.max_rowメソッドを使う

line 19-20:ある1件の特許について、発明者(inventors)情報と出願日(appl_date)情報を取得
inventors=発明者名が”;“区切りで連結された長い文字列

line 21-22:発明者(inventors)が空白でなければ、”;“で分割してリスト型に変換

line 23-29:その特許(line18のループで1件ずつ選ばれている特許)のすべての発明者について繰り返すループ

line 24-29:line 23のループで指している発明者が、inventor_dict(発明者の辞書)のkeyに既に存在するかどうかを調べ、
存在してなければ(line 25)、「その発明者:[出願年]」のデータをinventor_dictに追加
存在していれば(lien 26-29)、その発明者をkeyとする要素の[出願年]リストに、その特許の出願年を要素として追加する

ここまででデータ解析は完了
inventor_dictは、以下のようになる
発明者1:[出願年1, 出願年2, ・・・]
発明者2:[出願年x, 出願年y, ・・・]

line 30-42:”発明者”シートへの出力
1列目に発明者名、2列目以降に出願年ごとの出願件数をカウントして出力

〖 プログラムソース 〗

# -*- coding: utf-8 -*-
"""
発明者解析
"""
#
import os, openpyxl
#
path = os.getcwd()
file_name  = "20200825_Switch特許family.xlsx"
sheet_name = "発明者検索"
sheet_SW = "db172"     # SWITCH特許
#
# シートオブジェクトを生成
workbook = openpyxl.load_workbook(path+"\\"+file_name)
sheet_obj = workbook.get_sheet_by_name(sheet_name)
SWpat_obj = workbook.get_sheet_by_name(sheet_SW)
#
# SWITCH特許のリストを作成
SWpatents = []
for i in range(2,173):
    SWpatents.append(SWpat_obj.cell(row=2,column=i).value)
#
# SWITCH発明者のリストを作成
SWinventors = []
for i in range(29,172):
    SWinventors.append(sheet_obj.cell(row=2,column=i).value)
#
# "発明者検索"シートでの解析
for l in range(3,sheet_obj.max_row+1):
# 共同出願解析
    applicants = sheet_obj.cell(row=l,column=7).value
    if "任天堂" in applicants:
        if ";" in applicants:
            sheet_obj.cell(row=l,column=24).value = applicants.replace("任天堂株式会社","N")
        else:
            sheet_obj.cell(row=l,column=23).value = 1               # 任天堂単独出願
# SWITCH特許か否かの判定
    appl_num = sheet_obj.cell(row=l,column=2).value
    if appl_num in SWpatents:
        sheet_obj.cell(row=l,column=25).value = 1                   # SWITCH特許
# 発明者解析
    inventors = sheet_obj.cell(row=l,column=8).value
    if inventors is None:
        sheet_obj.cell(row=l,column=26).value = 0                   # 発明者数
    else:
        inventor_list = inventors.split(";")
        sheet_obj.cell(row=l,column=26).value = len(inventor_list)  # 発明者数
        num_SWinv = 0
        for inventor in inventor_list:
            for col in range(29,172):
                if inventor == SWinventors[col-29]:
                    num_SWinv +=1
                    sheet_obj.cell(row=l,column=col).value = 1      # SW発明者のフラグ処理
        sheet_obj.cell(row=l,column=27).value = num_SWinv           # SW発明者数
        sheet_obj.cell(row=l,column=28).value = len(inventor_list) - num_SWinv        
#
workbook.save(path+"\\"+file_name)

ニュースレター IPLux 2020年秋号

IP-Lux秋号をリリースしました。ご興味に適う記事があると嬉しいです。

IP-Lux Vol. 20 2020-10 (pdf 1MB)

季刊で仲間とともにニュースレターIP Luxをお届けしてまいりましたが、私からの配信を今回で最後とさせていただくことになりました。

長い間、ご愛読を頂きまして、誠にありがとうございました。

今後は、今年4月に立ち上げた英究特許事務所ライブラリhttp://lib.aq-patent.com)を中心に、みなさまのお役に立てる情報を提供させていただきたいと思っております。

新着情報は、facebook(個人名ではなく「英究特許事務所」)でお知らしております。

また、このニュースレターと同じく、毎年4回(1月、4月、7月、10月)、メルマガ風にメール配信させていただきます。

引き続き、新型コロナウィルス(Covid-19)感染が厳しい状況ではございますが、みなさまとみなさまのご家族、同僚の方々の健康を心よりお祈りいたします。

今後とも引き続き、ご指導・ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い致します。

 2020年10月1日

任天堂スイッチの特許戦略(2020.9-10更新)

任天堂 Switchを支える特許と意匠」は、2018年時点で調査結果を報告したもの。ゲーム機の製品寿命は、通常、それほど長くないので、改良発明がどんどん特許出願されていくことは考えにくい。一方、スイッチは、「あつまれどうぶつの森」の大ヒットもあって、2020年現在も一時入手が困難になるほどの売れ行きを誇っている。任天堂さんがこのようなロングランを予想して、またはロングランを狙って、改良発明の特許出願を積極的に進めてきたのか、或いは予想外のロングランに急遽特許戦略を変更したのか、現時点までに公開された特許からうかがい知れるのではないかと考えて探ってみた。

〘基礎出願からの特許ファミリー展開〙

一つ特徴的な点は、1件の基礎出願からの特許ファミリー展開である。特願2015-119707(2015/6/12出願)を優先権の基礎として、5件の特許出願がされている。

発明の名称で「情報処理システム・・・および付属機器」「ゲームコントローラ」「支持装置、充電装置、および操作システム」の3系統に大別される。

「情報処理システム・・・および付属機器」は、本体に2個のコントローラを接続して1人でプレイするケースから、コントローラを外して2人がそれぞれ持ってプレイするケース、それ以上の複数人でプレイするケースなど、ソフトウェア面に着目した発明を指向する特許群である。

「ゲームコントローラ」は本体とコントローラ(子機)の機械的、電気的な接続機構に関する発明を中心に、特にコントローラ側の構造的な発明を指向する特許群である。

「支持装置、充電装置、および操作システム」は接続されたコントローラが脱落しないような構造上の発明を指向する特許群である。

発明者も3つのグループに分けられることから、開発も当初は3グループ体制が採られていたのかもしれない。「ゲームコントローラ」と「支持装置・・・」とは内容的に明確に分けられない面もあるので、2グループ体制なのかもしれない。

特筆すべきは、どのグループでも少なくとも1件が2020年9月現在もなお、特許庁の審査に係属していることである。係属してさえいれば、さらなる分割出願が可能であり、特許請求の範囲を自由に作成することができる。出願時に開示した範囲を超えることは許されないが、表現を調整することができるので、模倣に対して強い牽制となっている。

〘基礎出願の海外展開〙

基礎出願のファミリーは、さらに外国へも積極的に出願されている。

欧州(ESはスペイン)、米国、中国への出願である。

〘改良発明などへの展開〙

改良発明を含む他の特許出願について、時系列にしてみた。分割出願等でも遡及日ではなく、実際に出願が受理された日を横軸にとり、どんな内容の特許出願がされてきているのかを概観している。

スイッチが発売された2017年3月の前年2016年には、前述の基礎出願の他には、音響効果、映像効果、振動効果、操作の感知など、基本的な機能についての特許出願が出そろい、さらにストラップのアタッチメントと充電方式についても出願された。

その後も基本的な機能についての出願は継続されており、改良が進められていることが窺われるが、2018年からは多様性が増したように見受けられる。Joy-Conと呼ばれる各種のアタッチメントやストラップ、タッチペンなどに関する出願が増え、それらは実際に発売されている。機能面を改良する発明については、どの程度実機に採用されているかまでは分析できていないが、出願件数としてはアタッチメントなどの件数より多く出願されている。ただ、アタッチメントではないが付属機器らしい「球状の筐体」は、まだ発売されていないようである(筆者の不明により見つけられないだけかもしれないが)。上のグラフでは2件の出願に見えているが、実際には同日出願のためにプロットが重なっており、5件の出願がなされている。近い将来発売されるのかもしれない。

「あつ森」の発売に合わせたのかどうかは定かではないものの、2018年から発明・特許出願のギアが上がったことは、間違いないようである。

追伸!(2020.10.1)

友人からの情報で、上の「球状の筐体」が既に製品化されていることが判明しました!

ポケモンの「モンスターボールplus」のようです。
https://www.pokemon.co.jp/ex/pika_vee/howtoplay/180713_03.html

こうしてみると、任天堂さんは、製品戦略と特許戦略がぴったり整合していてムダがないようです。儲けている会社は、こうあるべきなのかもしれません。

発明者分析を追加(2020.10.9)

発明者分析を追加した。「多様な技術分野への展開」(上述)で分析対象にした特許文献の数は、115件である。この115件の発明者一人一人について、何年の出願に発明者として関与しのかを集計した。

ご参考:この分析には、pythonを使った。Pythonプログラムについて詳しくは、「PYTHON奮闘記」ダウンロードしたcsvに対する発明者分析に公開したので、興味のある方はご参照いただきたい。

一般に、発明者分析からは、いろいろなことがわかる。会社がある製品の開発に当たって、どの程度の開発人員を投入したのか、どのようなエンジニアを投入したのかは、社外からはわからない。発明者はそのような開発人員の一部のはずなので、発明者分析をすることによって、間接的に窺い知ることができる。

発明者、出願年ごとに、出願件数を集計。発明者名は、公報に記載されているので、分析では実名がわかっているが、この図では非表示としてある。出願件数が多くなるにしたがって、赤色が濃くなるように表示している。但し、2020年8月までに出願公開された特許が分析対象なので、2019年後半以降に出願された特許は未集計。

基礎特許からファミリ展開された特許(この記事の最初の図を参照)の発明者12名のうち、8名は継続的に開発に従事しているように見える。毎年40名強の発明者が新たに発明/特許出願に寄与していることがわかる。1件の特許出願に関与しただけの発明者(黄色枠)も一定数あり、スイッチの開発チームに恒常的に投入されたのか、他部署からの協力に留まるのかは、明らかではない。

分析対象の年数がまだ短いので、傾向を明確に示すものではないが、開発人員を増員中であることは間違いなさそうである。

なお、発明者の個人名での特許検索が可能で、注目する発明者があれば、その発明者の発明履歴から、どのような技術分野でどの程度の経験を持った技術者であるかがわかる。他社からの転職もある程度、推定することができる(但し、同姓同名との区別が難しい場合がある)。

セルフレジ特許訴訟Ⅲ

アスタリスクがユニクロを運営するファーストリテーリングに続いてさらにジーユー(GU)も特許侵害で訴えた特許権侵害訴訟(セルフレジ特許訴訟セルフレジ特許訴訟Ⅱ参照)で、争われている特許権について、特許無効審判の審決が出たので報告する。

特許第6,469,758号を無効とする審判請求「無効2019-800041」の審決である。

特許第6,469,758号(本件特許)は請求項1~4の4項が特許として認められている。

無効審判の過程で、特許権者(アスタリスク)がその請求項を訂正した。

審決では、請求項1~4の訂正を認めた上で、訂正後の請求項1,2,4の発明については特許を無効とし、訂正後の請求項3は「審判請求は成立しない」とした。つまり、訂正後の請求項3は、特許権が否定されなかった。特許権者(アスタリスク)は特許侵害訴訟を継続することができる。

どんな請求項が特許性を否定され、どんな特許権が生き残ったのか、具体的に調べてみた。

  特許6469758
の登録時
無効2019-800041
における訂正
審決
請求項1   物品に付されたRFタグから情報を読み取る据置式の読取装置であって、   物品に付されたRFタグから情報を読み取る据置式の読取装置であって、 無効
  前記RFタグと交信するための電波を放射するアンテナと、   前記RFタグと交信するための電波を放射するアンテナと、

  前記アンテナを収容し、前記物品を囲み、該物品よりも広い開口が上向きに形成されたシールド部と、
 上向きに開口した筺体内に設けられ、前記アンテナを収容し、前記物品を囲み、該物品よりも広い開口が上向きに形成されたシールド部と、
を備え、 を備え、
  前記シールド部が上向きに開口した状態で、前記RFタグから情報を読み取る  前記筺体および前記シールド部が上向きに開口した状態で、前記RFタグから情報を読み取る
ことを特徴とする読取装置。 ことを特徴とする読取装置。
請求項2   前記アンテナよりも前記開口側に配されて、前記物品が載置される載置部を備えた請求項1に記載の読取装置。   前記アンテナよりも前記開口側に配されて、前記物品が載置される載置部を備えた請求項1に記載の読取装置。 無効
請求項3   前記シールド部は、   前記シールド部は、 残った権利
    前記電波を吸収する電波吸収層と、     前記電波を吸収する電波吸収層と、
    前記電波吸収層の外側に形成され、前記電波を反射させる電波反射層と、     前記電波吸収層の外側に形成され、前記電波を反射させる電波反射層と、
を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の読取装置。 を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の読取装置。
請求項4   請求項1~請求項3のいずれかに記載の読取装置と、   請求項1~請求項3のいずれかに記載の読取装置と、 無効
  前記読取装置と通信可能な情報提供装置と、   前記読取装置と通信可能な情報提供装置と、
を備え、 を備え、
  前記情報提供装置は、   前記情報提供装置は、
    前記物品に関する物品情報を前記RFタグの情報に対応付けて記憶する記憶部と、     前記物品に関する物品情報を前記RFタグの情報に対応付けて記憶する記憶部と、
    前記読取装置から前記RFタグの情報を取得する取得部と、     前記読取装置から前記RFタグの情報を取得する取得部と、
    取得した前記RFタグの情報に対応する前記物品情報を前記記憶部から抽出して提供すべき情報を生成する情報生成部と、     取得した前記RFタグの情報に対応する前記物品情報を前記記憶部から抽出して提供すべき情報を生成する情報生成部と、
    生成された前記提供すべき情報を出力する出力部と、     生成された前記提供すべき情報を出力する出力部と、
を備える情報提供システム。 を備える情報提供システム。

 シールド部が、「上向きに開口した筺体内に設けられ」ていて、そのシールド部が「電波吸収層と電波反射層とを備える」ことが要件として追加されたことになる。

〔考察〕

追加された要件が、特許侵害訴訟にどう影響するのかは、ユニクロの実施態様による。GUは別の特許(特許6541143)で訴えられているので、直接にはこの審決の影響を受けない。

特許権が生き残った訂正後の請求項3は、シールド部が電波吸収層と電波反射層との両方を備えることが要件とされているのに対して、GUを訴えている特許6541143では、シールド部が電波吸収層と電波反射層と一方または両方を備えることが要件とされており、電波吸収層と電波反射層のどちらか一方がなくても権利範囲に含まれるので、権利範囲が広い。

今後どうなるか?

無効審判は裁判の三審制の第一審に相当するので、高等裁判所さらには最高裁判所へ控訴、さらに上告することができる。どちらも提訴しないか、裁判で判決が確定するまでは、特許権の範囲について決着しない。

ユニクロのセルフレジで電波吸収層と電波反射層の両方が使われているとすると、ファイストリテーリングは知財高裁に審決取消訴訟を提訴する可能性が高い。一方、ユニクロやGUのセルフレジでは、電波吸収層か電波反射層の片方しか使われていないとすると、アスタリスクが特許6541143を使った特許侵害の主張に軸足を移すことになると考えられる。