リチウムイオン電池の電極材料の特許マップ

電池の電極にはいろいろな活物質が使われる。その状況を、特許マップを使って分析してみた。

通常は、どんな材料が使われているか、特許を1件1件読んで分析する必要があるが、Fタームにはその分析結果があるので、それを利用することを考える。

〔利用するFタームは、テーマコード5H050「電池の電極及び活物質」〕

出所:J-Plat Pat [ https://www.j-platpat.inpit.go.jp/p1101 ]

分析の進め方は、以下が考えられる。
BA00 「電池の種別」で「リチウムイオン電池」に絞り込んで、
CA00「正極活物質」と、
CB00「負極活物質」を分析する。

BA00「電池の種別」の詳細は以下。

CA00「正極活物質」の詳細は以下。

 関心のある粒度を定めて分析対象とすれば良い。この例では上の図のように、13種類の活物質を分析対象とする。(もし有機化合物に着目したい場合には、CA19の下位階層を細かく分析対象にする。)

CB00「負極活物質」の詳細は以下。

 負極側の活物質についてこの例では、上の図のように、13種類の活物質を分析対象とする。

分析対象とした13種類×13種類の活物質の組合せで、マトリックスを作成する。

上のマトリックスは、全期間を通した全体の特許文献すべてを対象とした。これを5年刻みにすると、正/負極の活物質の組合せの年次推移が見える化される。

1986-1990年には、正極=有機化合物/負極=アルカリ金属の組合せが最大。負極活物質としてはアルカリ金属が多く、炭素系もこれに続いている。正極活物質としては、有機化合物の他、複合系酸化物とMn系酸化物、カルコゲン系が続く構図。

1990-1995年には、正極活物質は有機化合物から複合系酸化物にシフト、負極活物質としては、アルカリ金属から炭素系にシフトした。

1995-2000年以降は、正極活物質は複合系酸化物に定着する一方、負極活物質としてはアルカリ金属から炭素系、特にグラファイトへのシフトが進んだことがわかる。