セルフレジ特許訴訟

「ユニクロが訴えられたセルフレジ特許 単純だから強力」という日本経済新聞の記事があった*1)ので紹介する。
*1)2019/11/5付日経xTECH https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51957600Y9A101C1000000/

どんな風に単純なのか、そんな単純な技術がどうやって特許されたのか、少し詳しく調べてみた。

まず、特許訴訟について
原告(特許権者): (株)アスタリスク*2)
被告: ファーストリテーリング
対象特許: 特許第6469758 号

〔どんな風に単純なのか〕
特許された請求項1と代表図を引用する。RFタグを付けた物品を囲んで上向きに開口しているシールド部を備えていることが特徴。

【請求項1】
  物品に付されたRFタグから情報を読み取る据置式の読取装置であって、
  前記RFタグと交信するための電波を放射するアンテナと、
  前記アンテナを収容し、前記物品を囲み、該物品よりも広い開口が上向きに形成されたシールド部と、
を備え、
  前記シールド部が上向きに開口した状態で、前記RFタグから情報を読み取ることを特徴とする読取装置。

〔どうやって特許性(進歩性)が認められたのか〕
 審査では、蓋つきのRFID読取装置の引用文献1(特開2015-207119)と、前方と上方が開口した読取装置の引用文献2(特開2008-84058 )とを組合せれば容易として進歩性が否定された。
 文献1の技術は、客の存在する空間と読取装置の空間が連続しているために読取りに影響するという課題を解決するために蓋により密閉空間を作るもの。一方、文献2の技術は、上方と前方に開口をもつ読取装置。
 これに対して、出願人(アスタリスク)は、2つの技術を組合せることができないことを主張して特許された。引例1の読取装置で蓋を省略することは、密閉空間を作るという発明概念と矛盾するので組合せることができないと主張して認められた。(詳細には審査書類をご参照いただきたい。)

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